ブログネタ
今年に入って読んだ面白い本を3つ教えて! に参加中!
PAP_0006


非常に気に入っている本で、今でも時間を見つけては紐解く本がある。
それはスピノザ著「エチカ」だ。

エティカ (中公クラシックス)
スピノザ
中央公論新社
2007-01


非常に難解な本で、今でもその一部さえ理解できているか疑わしいが、パラパラとめくって一節を読んでいる。
その一節に、このようなものがあった。

『しかし、もし貪欲な人間が金と所有物のことばかり考え、野心的な人物が名声のことばかり考えたとしても、人は彼らを精神異常とは考えず、ただ不愉快に思うだけである。概して人は彼らを軽蔑する。しかし、実際には、貪欲や野心などは精神異常の形態なのである。ふつうは人はそれらを〈病気〉とは考えないけれども』 エチカ 第四章 命題四四

スピノザはこの節の前に、『人間性の要求に対応しない熱意は、もはや病気である』といった趣旨の事を書いていた。
読んだ当初はピンとこなかったが、その後にこの本を読んで思わず読み返すこととなった。

生きるということ
エーリッヒ・フロム
紀伊國屋書店
1977-01


著者のエーリッヒ・フロムは、前述のエチカの一節を取り上げた上でこう書いている。

『スピノザの能動性と受動性の概念は、産業社会に対する最もラディカルな批判である。主として金や所有や名声への貪欲にかりたてられる人物は正常でよく順応している、という今日の信条とは対照的に、彼らはスピノザによって、受動的で根本的に病んでいると見なされる。』第五章P136

この一文を読み、エチカを読み返して、確かに自分の視界が広がった感覚があった。
本を読んでいてよかったと思える瞬間だ。
それまでの自分にとっては、お金や名声(=出世)は求めてやまないものだった。
ただ、その価値観にどこか違和感を感じてもいた。
その違和感を明確に示してくれたのが、前述の著作だったのだ。

故スティーブ・ジョブスはスピーチでこう言っていた。
「すぐに死ぬ」と覚悟することは、人生で大きな決断をする時に大きな自信となります。なぜなら、ほとんど全てのものは、周囲からの期待、プライド、失敗や恥をかくことへの恐怖などで、そういったものは死に直面すると消え去るからです。そこに残るのは、本当に必要なものだけです。
全文はこちら

スティーブ・ジョブズ I
ウォルター・アイザックソン
講談社
2012-09-28



お金や出世は、死を迎えた後も残っているものだろうか。


本を読んでいると、自分の心の中の『不明確ななにか』が明文化される瞬間がある。
視界が広がり、認識が変わる瞬間がある。

今後もそのような瞬間があれば、この場を借りてお伝えしていきたい。